MDのSCMS(コピー禁止)について
本調査および解説はSCMSの解除を保証するものではありません。
また本調査における実験を各ユーザ様が行った場合、結果に問わず当方は一切の責任を負いません。
SCMS解除は著作者の権利を侵害する恐れがあります。ご注意ください。

 
1.MDにおけるSCMS動作
 MDはSCMSの規制に対応したデジタル機器です。よってMDを用いるデジタル接続による複製は1世代までと限定されています。通常MDの使用目的の代表はCD(コンパクトディスク)からの複製です。CD・MDシステムによってCDの音声をMDに録音しますが、一般的なこの複製時のCD・MD機器の接続は光ケーブルなどを用いるデジタル接続で行われており、この段階で「デジタル1世代の複製」が実現しますので、この録音されたMDをマスター(再生側)としてさらなるデジタル接続による複製は制限されます。

2.MDのSCMSフラグ
 MDにおける「SCMS」のフラグは何処に記述されているのでしょうか。それは「U-TOC」の一部分に記録されているのです。U-TOCはディスク上の音楽データの置かれているアドレスを管理し、潤滑な再生および消去などの編集を実現しているところですが、この中にそのトラックが録音されたとき、音声入力はデジタル接続だったのか、アナログ接続だったのかを記録する部分があります。すなわちこの部分がMDにおけるSCMS管理情報そのものと言えるでしょう。

 デジタル接続だった場合は「デジタル」、アナログ接続だった場合は「アナログ」というフラグが立ちます。「デジタル」というフラグの立ったトラックを別のMD(もしくはデジタルメディア)にデジタル接続で複製を行おうとすると、MDデッキは「本デジタル信号はMD機器より送信された、1世代以上のデータです」という信号を混ぜて送信しますので、受け手であるSCMS対応の録音機器は「1世代以上のデータ」と言うことを理解し、録音できないように処理を行います。MDデッキでは「Can't Copy」と言うようなメッセージがディスプレイに表示され、録音を実行しない(出来ない)と思います。

 この「デジタル」だ、「アナログ」だ、というフラグは、トラック分割を行っても分割後の各トラックに引き継がれます。また機器によっては認められない(実行できない)ケースが存在しますが、デジタル接続で録音したトラックと、アナログ接続で録音したトラックを結合した場合の結合後トラックはすべて「デジタル」というフラグに置き換わりますので、例えアナログ接続で録音された音楽データが混じっていたとしても、そのトラックはデジタル接続でのコピーは出来ません。仮にトラックを結合した部分で寸分の狂い、ズレも無く分割できたとしても、もともとはアナログ接続で録音したトラックでも「デジタル」というフラグに置き換わっていると思います。(この部分は推測です)

3.実験開始
 さて本題ですが、U-TOCに「デジタル」だ、「アナログ」だ、というフラグが本当に存在しているか?の実証実験です。方法は簡単でU-TOCの移植技を使います。ブランクディスクを2枚用意します。この各ブランクディスクにCDから同じ曲を1枚はデジタル接続で、もう1枚はアナログ接続で録音します。ただしアナログ接続で録音するディスクは曲を録音しようが、何もケーブル類は接続せずREC-INをアナログモードにして無音状態を録音しても構いません。要はデジタル接続で録音した場合と同じだけの収録時間情報+アナログというフラグが記録されたU-TOC情報が必要なのです。(アナログ接続による録音時間はデジタル接続の場合より1秒ほど長くしておきます)

 2種類のディスクが完成したらまずはデジタル接続で録音したディスクのチェックです。MDデッキを2台用意しデジタル接続で結びます。再生機側に今作成したデジタル接続で録音したディスクを、録音機側に任意のディスク(トラブルを避けるためやはりブランクディスク)をセットし、いざ録音開始!案の定、録音機側は「Can't Copy」を表示するだけで、録音を行ってくれません。SCMSが有効になっていることが分かります。

 いよいよデジタル接続で録音したディスクに、アナログ接続で得たU-TOCの移植です。この方法は74分ディスクに80分ディスクのU-TOCを移植する方法と全く変わりませんので、ここでは割愛いたします。

 このようにして出来たディスクですが、とりあえず確認と言うことで再生してみます。ちゃんと再生できました。ディスク先頭からの録音であり、収録時間(終了アドレス)もデジタル接続時の録音よりちびっとだけ長いので再生出来てしまいます。(この辺は構造が分からないとちょっと難しいかも)

4.結果
 いよいよこのディスクを再生側としてデジタル接続による複製です。「成功!!」
 「Can't Copy」の文字も出ず、難無く複製が実現できました。これによりコピー禁止に関する情報はU-TOCに書かれていることが判明しました。



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5.ヒント
 移植するU-TOCは「フラグ」を除いては全て同じである必要があります。トラック区切りとして1サウンドグループだけアドレスがずれてしまっても正常な再生は保証できません。まして編集を繰り返したディスクのU-TOCは大変複雑なものになり、それと同じようなアドレス管理をしたU-TOCを手作業で作成することは間違いなく出来ません。唯一安全に作業することが可能な方法(条件)は、対象となるディスクが一切の編集を行っていない、ディスクの使用状況(録音状態も含む)が連続しているものに限り、移植するU-TOCは1ディスク/1トラック/フルタイム録音されたものを用い、よって得たディスクを分割処理をする(この辺がMDらしい、MDだからこそ可能)のがベターだと思います。
 ただこのように得たディスクでも、ATRACの多重処理により音質劣化が発生しますので、この行為自体に意味があるのかは各ユーザに判断をゆだねます。