SONY MDデッキ  MDS-JA555ESの使用感想


MDS-JA555ESの写真   MDS-JA555ESの内部写真

 MDS-JA555ESの写真(中段のデッキ)                MDS-JA555ESの内部写真 

 【説明】
 MDS-JA555ESは、1999/11/10にデビューしたSONYのMDデッキの最高機種です。MDS-JA33ES(1998/12月発売)はもとより、MDS-JA50ES(1996/12月発売)の後継機種でもあります。ATRAC TYPE-Rや24bit入出力ワイドビットストリームやデジタルRECボリューム、オプションでのPCリンク機能など、中堅機でも当たり前ですが、以前のMDS-JA50ESにない最新の装備を持っています。その他にESシリーズCDプレイヤーのCDP-XA55ESに搭載されているカレントパルスDAコンバーター&24bit演算可変ディジタルフィルターや、MDS-JA50ESと同様にRコアトランス2個(しかも銅板プレート固定)や、振動を押さえるFBシャーシ/二重底板にメカデッキのシールドなど重量級の高音質なパーツが使われています。更に、パソコンとの接続を考え、内部配線の殆どにノイズフィルターのフェライトコアが使われています。
 内部の作りを見ると同じSONY製品でいうと、CDプレイヤーのCDP-XA55ESをベースにしたMDデッキと言えるかもしれません。重量はなんとMDS-JA50ESより1Kgも重い15.3Kgもあります。
 

 【買った理由】
 私がMDS-JA555ESを買ったのは、発売日直ぐです。1ヶ月前から予約までして買いました。最近は、パソコンの出荷台数も桁違いで、700万台とも900万台とも言われ、西暦2000年には1000万台の大台を突破するとTV報道されています。それにメディアの出荷枚数もCD-R(データ用)がFDを越えるとか・・・。これらパソコン購入者がバックアップ装置を選ぶとなると・・・、パソコン雑誌でも超お薦めしているCD-R/RWドライブとなる。SCSIならチャチな性能のパソコンでも使えるのだから、2〜3年間分の出荷されたパソコン利用者が購入対象になるのだから恐ろしい。身震い・・もとい武者震いがする(笑) つまりこれは、MP3などの半導体オーディオや、パソコン用CD-R/RWドライブの普及が急カーブで上昇すると予想されます。だから高音質なCD-Rと、ポータブルに有利なMP3等半導体オーディオのはざまにあるMDは今後衰退の道を歩むという危機感を抱きました。同時にパソコン市場の拡大に伴うオーディオ産業の衰退の加速の危機感もです。今後、MDデッキは機能重視の中堅以下の機種に力を入れていくような感じがして、だから今のうちに高級機を確保しようと思い、買いました。その他の理由には、やはりMD好きとしてはATRAC TYPE-Rの実力も知りたかったのでした。MDは便利なので大好きです。
 オーディオCD-R/RWデッキは上記で書いているように、パソコンの出荷台数を考えるとパソコン用の方が圧倒的に将来性があり実用的で進歩も激しく活気があるので、買う予定は全くありません。オーディオ用CD-R/RWデッキは、当初のフィリップス/マランツ/パイオニアに加え、DENON/KENWOOD/YAMAHA/TEACが参入しましたが、DENONとKENWOODが1999年11月のオーディオエキスポに試作機を出展したのにも関わらず、1999年末のボーナスシーズンに発売しなかったのは、もはやパソコン用が主流となり商売にならないと考えたからでしょう。今後いずれ発売されると思いますが、私が思うにはパソコン用に喰われオーディオ用は伸び悩むと予測しています。単品オーディオ市場とパソコン市場とでは土台の桁が違い、事実、有名AV機器ホームページとパソコンCD-R/RWホームページとでは訪問者数の数が一桁違います。パソコンは活気溢れています。
 

 【音質について】
 音質は・・・、殆どMDS-JA50ESと同等の音質です。つまりは、MDデッキではトップクラスの音質ということになります。しかし僅かにMDS-JA50ESよりもMD再生時にワイドレンジであり中域にキレもあります。ヴォーカルもなかなか生々しいです。徹底した物量投入のお陰かもしれません。まあでも新製品という先入観を持ってしてでもこれですから、やはり同等と言いたいです。繰り返し書きますが、生々しさをより重視する人はMDは向かないと思います。やはりMDよりDATよりCD-Rより、オリジナルのCDソフトが一番最高!
 まあでも、事実上MDS-JA50ESクラスのMDデッキが2台になったというだけでも安心感かあります。それだけ過去に録音したMDディスク音楽の資産は莫大です。あとは、生ディスクの方の心配ですが、SONYという会社は大企業ゆえに悪い評判も多々ありますが、DATにしろED-βビデオにしろHi8ビデオカメラにしろ今も言い出しっぺの責任持って製造販売を続けていますから、今後も安心です。ただ、やはり選択肢は狭まりそうです。

 【MDS-JA555ESの将来性】
 MDS-JA555ESは、ダイナミックレンジ108dBというスペックで、SACD(スーパーオーディオCD)のSCD-1の105dBを凌いでいます。当然実際の音質はSACDに遙かかなた遠く及びませんが、SACDからのアナログダビングでは、CDからのそれより音質が越えることもありうるかもしれません。次世代オーディオをもダビングできるポテンシャルを秘めていると言えます。一瞬でもダイナミックレンジ108dBの音がして、「おお!」と思うこともあるかもしれません。

 MDS-JA50ESとMDS-JA555ESは、トレイローディング式メカでBSLモーター採用(ドイツSONYサイトの情報より)と、MDトランスポーターとしての実力も素晴らしく、安物のディスクを使っても歪み感のアラが目立ちにくいです。TDKのXA-PROというディスクを使うと、よりアラは無くなります。SONY ESディスクでも十分です。そしてMDS-JA555ESは、同軸デジタル出力端子を持っています。しかも24bitまでの出力が出来ます。将来、DVD-Audioなどの高級機でDACモード付きのを買ったり、対応デジタルアンプを買えば更なる音質向上が見込まれます。いまでも、TEACのVRDS-25XなどのDAC入力付きCDプレイヤーに接続すれば音質向上間違いないでしょう。ただ、単体DACは高価なので生涯縁は無さそうですが・・(苦笑) ATRAC TYPE-R搭載だけに、外部DACに接続する価値は大いにあります。
 

  
  MDS-JA555ESの回路の一部分
 


【後日談】 1999/12/7
 SONY自慢のMD-PCリンクキットのPCLK-MD2を買いました。早速VAIO PCG-713とMDS-JA555ESに接続して使用してみましたが、なんと言っても文字入力がパソコンのキーボードで行えるのは超便利です。あとの機能は・・・、あまり使っていません(笑)
 こんな機能はオーディオCD-R/RWには真似できません。真似をしようものなら、自ずとパソコンとの連携になり、そしてパソコン用CD-R/RWドライブと区別が無くなり、どうせならパソコン用のを買おうとなってしまいます。SONYや松下はCD-R/RWドライブを自社生産して周辺機器などに発売していますが、その技術とノウハウを十二分に持ちながらもオーディオ用を発売しないのは、その辺のところを良く理解していて賢いと言えます。

 SONY PCLK-MD2の箱の写真    PCLK-MD2の写真
 PCLK-MD2の箱の写真      PCLK-MD2の写真
 

 【後日談2】 2000/04/02
 MDS-JA50ESの感想のページでも書きましたが、SONYの修理屋さんの話ではMDS-JA555ESのメカはJA50ESのそれよりも相当進歩しているようで、耐久性をはじめ読み取り精度や読み取りマージンやエラー訂正などが随分進歩しているようです。メカとしてピックアップを始め、ディスクを固定するチャッキング機構などが新たになっているようです。MDトランスポーターとしては、MDS-JA555ESを上回る物は存在しないと言えます。
 

 【このMDS-JA555ESで買うの止めにすると思う】2000/06/11
 今や家ではオリジナルCDをCDP-XA55ESで再生させるのが殆どになりました。特にPMC TB2SMというスピーカーを買って以来そうです。TB2SMで音楽を聴き始めて以来、MDの音質は私の許容範囲を超え、上記でも書いている「生々しさの欠如」がかなり痛くなってきました(^^;;;
 そして今はMDS-JA555ESは、ポータブルMD用に編集してダビングする程度にしか使っていません。MDS-S39なら、AMラジオの録音に扱き使っていますが・・。ということで、MDの用途がMDらしくカジュアルになってきたので、今後のMDS-JA555ESの後継機種には興味が湧かなくなりました。それに、SONYのサービスマンの話によると、MDS-JA555ESやMDS-JA50ESのオーバーホールは、メカ部全体でも3万円くらいで済み、本体全体のオーバーホールでもおよそ\60,000前後だそうですから、新しいものを次から次へと買うよりも修理して使っていった方が良いと思いました。JA555ESのATRAC TYPE-Rは歪み感や生々しさ不足の軽減という味があるし、JA50ESのATRAC 4.5は生々しさの違和感こそあるけど情報量の多さやクッキリ感という味もあります。それにMDとしての基本機能以外にも、それぞれ下記のような魅力的な特有機能もありますし、それぞれ使い分けてゆきたいと思います。

 そういう意味では、MDS-JA555ESやMDS-JA50ESは修理してでも長く大切に使って行きたいと思います。

●JA555ESの機能(JA50ESにはない機能)
・オプションでPCリンク対応
・デジタルレベルボリュームのメモリ機能(レベル設定を記憶している)
・再生ピッチコントロール
・スリープタイマー
・24bitデジタルインアウト
・同軸デジタルアウト
・アナログ出力レベルの可変
・モノラル長時間録音
・再生ボタンを押すと自動的に電源が入り再生する

●JA50ESの機能(JA555ESにはない機能)
・レジューム機能(ポータブルMDやテープみたいに止めた途中から再生可能で、それは電源OFFにしても記憶有効)
・ノンクリップ回路(デジタル入力レベルがオーバーすると自動的にレベル下げ調整する)
・MD再生時にもデジタルレベルボリュームの増減が可能
・デジタルレベルボリュームの増減カーブ設定(リニア/サイン/ログ)※使用経験無し
・フェードイン/アウトの増減カーブ設定(リニア/サイン/ログ)※使用経験無し
・オート等間隔トラックマーキング(録音時1分または5分ごとにオートトラックマーキング可能)
・CLOCKボタンで簡単に日時が見れる
・FLディスプレイのON/OFF
・デジタルピークメーターが22セグメント
・曲番表示が20曲
 


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