SONY MDデッキ MDS-JA50ESの使用感想


MDS-JA50ESの写真  MDS-JA50ESの内部写真

 MDS-JA50ESの写真(上側のデッキ)               MDS-JA50ESの内部写真

【説明】
 MDS-JA50ESは、1996年12月にデビューしたSONYのMDデッキの最高機種です。ATRAC Ver4.5やデジタルRECボリュームなど、以前のMDS-JA3ESにない最新の装備を持っています。今では当たり前の装備ですけどね。その他にESシリーズCDプレイヤーに搭載されているカレントパルスDAコンバーターや、可変ディジタルフィルターやRコアトランス2個や、振動を押さえるFBシャーシ/BASC(真鍮,アルミ,鉄,構造)パネルなど高音質なパーツが使われています。同じSONY製品でいうと、CDプレイヤーのCDP-XA50ESをベースにしたMDデッキと言えるかもしれません。
 

【買った理由】
 私がMDS-JA50ESを買ったのは、1997年3月のことです。それまで1996年3月に買ったSONY MDS-JA3ESを使っていましたが、主に衛星放送のSt.GIGAをエアチェックする私には、MDS-JA50ESのデジタルRECボリュームが大変魅力的でした。MDS-JA3ESではせっかくデジタル録音しても録音レベルが低く、CDなどと音量が合わせられなくて不便でしたから。それとCDプレイヤーも光デジタル接続でしたから、光入力が2系統あるのも魅力でした。もちろんCDに近い高音質なところも魅力でした。その他にも、ノンクリップ回路とか、可変レベルシンクとか、デジタルフェードイン・フェードアウトとかもエアチェックには魅力でした。

【音質について】
 音質は、CDプレイヤーからのデジタルコピーの自己録再で、CDと区別が付かないくらい良い音に聞こえました。ヘッドホンで聴くと、わずかに生々しさが足りないかなという気がしますが、低音も厚みも解像度も艶も定価6〜7万円くらいのCDプレイヤー並みにあって良い音です。悪く言えば、定価18万円もするのに定価6〜7万円のCDプレイヤーの音質でしかありません。まあ聴く音楽の種類(電子音のJ-POPとか)によっては、9万円くらいのCDプレイヤーの音質がします。とはいえ、MDS-JA3ESとは全然違います。キンキンしたデジタル臭さも目立ちません。さすがは、14Kgの物量投入のMDS-JA50ESです。しかし生々しさが足りないのは、ATRAC特有の圧縮歪みのせいなのでしょうか。生々しさを重視する人はMDには向かないと思います。(この場合やはり録音メディアよりオリジナルの市販CDが一番最高です。)

 今のところMDS-JA50ESとMDS-JA33ESにだけ搭載されている24bitΔΣADコンバーターですが、CDからのアナログコピーで試聴してみました。やはりいくら24bit相当精度とはいえ、DA-AD-DA変換しているわけですから、少し音質が落ちます。こもった音質になりました。良く言えば刺激臭の少ない聴きやすい音質です。とはいえ、劣化した昔のカセットやAMラジオなどのアナログソースだったら、音質の変化が判らないまま良い音で録音できると思います。手の込んだアナログレコードや高品質FM放送の録音だと、歪み感やアラが目立つと思います。
 

【MDS-JA50ESを単体DAコンバーターとして使ってみる】
 MDS-JA50ESを買った最初から、DAコンバーターとしても使うつもりでした。最初は経済的理由から光デジタル出力付きのCDラジカセを繋いで聴いていました。それでもMDS-JA50ESをDAコンバーターとして聴くと、SONYのCDプレーヤーでいうならばCDP-XA30ES相当の音質がしてたと思います。まずまず満足でした。
 それからしばらくして1998年7月に、KENWOODのDP-5090というCDプレイヤーを買いました。買った理由は、値段が安かったことと、同軸デジタル端子が装備されていたからです。最初からMDS-JA50ESのDAコンバーターへのCDトランスポートにする考えでした。これでMDS-JA50ESの光入力端子が一つ空きます。DP-5090は単体でも値段相応の、解像度の高いまあ落ち着いたリアルな高音質なのですが、MDS-JA50ESをDAコンバーターとして聴くともっと高音質になりました。これまたSONYのCDプレイヤーでいうと、CDP-XA30ESとCDP-XA50ESの中間相当の高音質だと思います。さすがは、CDP-XA50ESやDTC-2000ES並みに重量が重く、贅沢な部品が使われていることだけあります。
 それにしても、SONYとKENWOODでは音色が随分違いますね。私が思うにSONYは高音がクリアで澄んでいて低音がしっかりとした音質ですが、KENWOODは角の丸めたおとなしいめの落ち着いた音質です。私はSONYの音質が好みです。どうもKENWOODは、元気のないこもった感じの音に聞こえて好きになれません。この辺は、好みの問題ですね。これを読んでいるあなたは、どちらが好みですか?
 

  
  MDS-JA50ESの回路の一部分
 


 【後日談】1999/10
 ニフティのFAVで、SONYのMDデッキは、DAコンバータとして使うとき、ATRACを通しているのでは?というご指摘がありましたが、反MD掲示板や直接SONYに問い合わせたところ、DAコンバーターモード時はサンプリングレートコンバーターは通っているがATRACを通していないということでした。これで安心して、DP-5090のDAコンバーターとして使えます。上記の「MDS-JA50ESを単体DAコンバーターとして使ってみる」の記述は、正しいと言えることが証明されました。自分の耳に自信がもてました(^^;

 それと、MDS-JA3ESのページで、未だ故障無しと書きましたが、遂に故障というか調子が悪くなりました。MDS-JA3ESの時と同じく、録音時の調子が悪く、TOCの書き込みに失敗して全曲消えたりするときがあります。おそらく、ピックアップ&レーザーの部分の故障でしょう。60枚くらい録音して壊れました。まあ、30枚で壊れるMDS-JA3ESよりはマシですが・・。これから修理に出して帰ってきたら、MDS-S39を録音専用にして、MDS-JA50ESは再生専用にしたいと思います。録音だけなら、MDS-S39も良いですから。

 【後日談2】2000/02/14
 上記後日談で故障したと書きましたが、何故か治りました(???) 今のところ録音に全く支障なしです。まあ今では録音は殆どMDS-JA555ESで行っていますが、喜ばしいことです。

 MDS-JA50ESとMDS-JA555ESのメカデッキの違いの話をします。MDS-JA50ESは、メカ部に亜鉛ダイキャストベースでディスクを固定する仕組みになっていてMDデッキの中では最高に安定感抜群です。そしてMDS-JA555ESは、MDS-JA22ESから採用されたメカで単にフロントローディングというだけです。ただし、MDS-JA50ESはメカへの鉄板シールドが無くMDS-JA555ESと差し引きゼロくらいです。
私は思いますが、MDS-JA555ESがMDS-JA50ESのメカを使用していたら、もっと音質の違いはハッキリしていたでしょう。

 【後日談3】2000/4/2
 やはりTOC書き込みエラーが出たので、遂に3月中旬に修理に出しました。案の定JA3ESの時と同じく、ピックアップの交換でした。それと、SONYの修理屋さんの説明で、上記の【後日談2】で書いていたことは間違いだということが解りました。
 MDS-JA50ESのピックアップはMDS-JA3ESのものと同型番(KMS-210A RP)の部品(厳密にはJA50ES用の方が改良されているみたいです)を使用していて、MDS-JA555ESとはメカが違い、更にはMDS-JA555ESのほうが読み取り精度や安定度共に進化した良質なメカだそうです。
そしてMDS-JA50ESとMDS-JA555ESでは音質的に傾向はともかく同じグレードだと修理屋さんは言っていました。かたや18万円のJA50ESこなた12万円のJA555ES、12万円の安い(とは言っても高価!)のと同じグレードと言うことで、そして上記のJA555ESの進化ぶりに、私のMDS-JA50ES神話が崩れました。


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